プレシャス・ツイン・ロゼ
タイプ:ロゼ
味わい:辛口
ボディ:ミディアムライトボディ
生産者:レアム・セラーズ
生産地:アメリカ|カリフォルニア|ナパ・ヴァレー
品種:メルロー90%|カベルネ・ソーヴィニヨン10%
ヴィンテージ:2020年
畑:フェアラ・ヴィンヤード(クームスヴィル、レアムが共同オーナー)
レアム・エステート(スタッグスリープ・ディストリクト、旧ハートウェルの畑)
醸造:醸造強い圧力をかけずに優しくプレス、ステンレスタンクで低温発酵・熟成。プロヴァンススタイルの白ワイン造りのロゼ。
【悲劇の2020年を起死回生するこのヴィンテージだけの特別ワイン】
2020年8月の終わりと9月後半に起きた2度の山火事によりナパ・ヴァレーは大きな被害を受けた。数か所の施設、ワイナリー、畑が消失し、ヴァレーには煙が立ち込めた。既に収穫が終わっていた白ワイン用の葡萄は被害を免れたが、ほとんどの赤ワイン用の葡萄は煙の影響を受けてしまった。
レアムでは何度も検証を重ねた結果、2020年全ての赤ワインの製造を断念した。このロゼワインと白ワインのフェデリオだけが悲劇を救うことになった。8月終わりの山火事が発生した直後、栽培管理を自分たちで行い、自分で収穫を決定できる自社畑の二つからテスト的に収穫した葡萄(プレミアムワインを造るにはまだ完熟していないが未熟の青さは無い)からロゼを造ることを決断した。
しかしながら、レアムの信念は「ナパ・ヴァレーの最高の畑から最高級の芸術品を造り上げること、それぞれの畑が持つ可能性を探求、追求し、土地が内包する個性や真実をワインに表現すること」である為、ロゼはそのコンセプトに反するとも考えられリリースするかどうかは検討課題であった。
その後全ての赤ワインを断念することになり、落ち込むスタッフを元気づける為にも今までにない繊細な温度管理が必要なこのロゼの醸造はレアムのスタッフを元気づける役割を果たすことにもなった。
2021年の最初に仕上がったこのロゼは素晴らしく、冷たいと風の影響を受けるナパ・ヴァレー南の二つの自社畑の特徴を良く反映していることを確認した。
そして何よりも「美味しすぎてボトリングしないわけにはいかない!」と判断しリリースを決断。2021年初夏に通常ボトルで少量リリース後、2022年春にこの美しいボトルで再リリース。
プレシャス・ツインの名前は、このリリースタイミングが違う二つの兄弟ワイン と、ラベルに描かれているマヤ文明の蛇の神が対あるいは双子として崇められることから命名。
《ワインコメント》
色合いは淡いサーモンピンク。生き生きとした柑橘系の香り、ストロベリー、ラズベリー、花の香など がグラスから溢れるように立ち上がる。味わいにはスパイシーでハープのニュアンス(フェンネル、白胡 椒、ブーケガルニ)や、複雑な要素が様々に重なり合い、普通のシンプルなロゼより、秀逸な酸が存在し、 辛口にしあがっている。ミディアム・ボディで辛口。余韻にもスパイス感と赤系ベリーが心地よく残る。
《エチケットデザインについて》
美しい天使が飛び立つレアムのソーヴィニヨン・ブラン 「フェデリオ」のラベル作者シルヴィア・ジ女史がこのロゼ のコンセプトを理解した上で描いた作品。メキシコの古代ア ステカ文明の神である羽毛の生えた蛇「ケツァルコアトル= 夜明けの神」がイメージ。再生と明星を意味し、ロゼのイメ ージに良く合うカラフルな色使いで、アステカの文化の象徴 でもある金色の太陽の光も描かれている。オリジナル作品 は、白樺材にアクリルと金箔で描かれています。(マヤ文明 ではククルカンとして信仰される蛇の化身の神でもある)
《ワイナリー情報》
ナパ各地を切り取るがごとくワインに紡ぎ出す。将来を見据えたヴィジョンと惜しみない投資。今最高のスタッフが集まる。
創業者ホワン・メルカードが2002年設立。ナパ・ヴァレーの最高の畑から最高級の芸術品を造り上げること、それぞれの畑が持つ可能性を探求、追求し、土地が内包する個性や真実をワインに表現することを信念とする。
2012年元ハーラン/ボンドの財務担当、交渉のプロでもあるスコット・ベッカーが参入(写真左)。2015年スタッグス・リープ・ディストリクツにある元ハートウェルの畑とワイナリーを取得。畑もワイナリーも大きな改修が必要であり、2017年の山火事、2019年にはホワンが引退し、スコットがオーナー社長となる。
フェアラ・ヴィンヤードの共同所有などまだまだ新しい投資、発展は続き、次世代を考えた自社畑の改植なども進める。無名のワイナリーを100ポイントゲッターに引き上げたブノワ・トゥケの手腕が高く評価されている。
《ワインメーカー》
Benoit Touquette/ブノワ・トゥケ(チーフ・ワインメーカー/写真右)
2011 年就任。ボルドー生まれのフランス人。ボルドー大卒(醸造と化学で修士号)、シャトー・ラ・ル ーヴィエール、シャトー・クーアンリュルトンでミッシェル・ロランと働き、カリフォルニアには彼 から派遣されたのがきっかけで移住。アメリカではアンディ・エリクソンのもと、アリエッタ、ファヴ ィア、ハートウェル、オーヴィッド、スクリーミング・イーグル等で修業を積む。「自由なカリフォル ニアのワイン造りに惚れ込んだ。」と目を輝かせながら淡々と語る。レアム 2013VTG でパーカー100点 を3つ獲得、無名だったワイナリーを 100ポイントゲッターに引き上げた手腕が高く評価され、コン サルティングも増え、今後とも彼の動向には目が離せない。優しいながら情熱溢れる人柄が印象的。